【瀬戸市】ランチ文化・徹底深掘りコラム
「せともの」の千年の歴史と窯垣の小径。名物「瀬戸焼そば」とうなぎ、陶芸ギャラリーカフェの深奥
愛知県北東部に位置し、日本の陶磁器の代名詞「せともの」の語源となった千年以上の窯業の歴史を誇る瀬戸市。尾張と美濃の山あいに抱かれたこの街には、窯焼き職人たちの手軽なスタミナ食として生まれた唯一無二のB級グルメ「瀬戸焼そば」、全国にその名を知られる老舗炭火うなぎ店、そして窯元の面影を残す窯垣の小径周辺に佇む器自慢の隠れ家カフェまで、歴史の深みと職人気質が息づくランチ文化が広がっています。
1. 蒸し麺と醤油豚出汁が織りなす唯一無二のソウルフード「瀬戸焼そば」
ソースではない、醤油の香ばしさと豚肉の旨味が染み込んだ伝統の味
全国の「ご当地焼きそば」の中でも、極めて独特な製法と風味で熱狂的なファンを持つのが瀬戸市のソウルフード「瀬戸焼そば」です。
一般的なソース焼きそばとは異なり、瀬戸焼そばの最大の特徴は「豚肉の煮汁をベースにした醤油ダレ」で炒め上げること。蒸した茶色い細麺を使い、豚肉とキャベツというシンプルな具材とともに中華鍋で炒め、豚肉の旨味が溶け出した甘辛い醤油ダレを麺にじっくりと吸わせます。
仕上がりはベタつかず、醤油の香ばしさと豚肉のコクが麺の一本一本に凝縮された深い味わい。瀬戸ものの陶器皿に盛り付けられて提供されるのもこの街ならではの粋です。
発祥は昭和30年代。瀬戸の窯元や陶磁器市場で忙しく働く職人や商人たちが、サッと手早く、かつ安くて腹持ちの良い食事として愛したのが始まりです。市内には創業数十年を誇る専門店から大衆食堂まで多数の提供店があり、昼時には地元客が持ち帰り(テイクアウト)も含めて列を作ります。
2. 窯元文化が生んだもうひとつの名物「老舗炭火うなぎ」の圧倒的実力
土岐・多治見と並ぶうなぎの聖地。職人の気骨が焼き上げる香ばしい関西風地焼き
多治見市と同様に、瀬戸市もまた全国有数の「うなぎの名所」として知られています。高温の窯の前で粘土と炎に向き合う陶工たちのスタミナ源として、古くからうなぎ屋が重宝されてきました。
瀬戸川沿いや尾張瀬戸駅周辺、深川神社周辺には、創業100年を超える名店が暖簾を掲げています。備長炭の強火で外側をパリッと香ばしく、中はふんわりと焼き上げる関西風の地焼き技術は圧巻の一言。たまり醤油をベースにしたキリッとした甘辛タレが、香ばしい皮目と脂の乗った身に完璧に調和します。
将棋界のスーパースター・藤井聡太竜王・名人の出身地としても脚光を浴びた瀬戸市ですが、勝負メシとしても注目されたうなぎや味噌カツは、今や全国からファンが訪れる瀬戸ランチの最高峰です。
3. 窯垣の小径とレトロ商店街:手作りの器で味わうギャラリーカフェランチ
窯道具「タナイタ」を積み上げた路地を歩き、お気に入りの器でいただく贅沢
尾張瀬戸駅から東へ歩くと、昔ながらのアーケードが残る「せと銀座通り商店街」や、窯道具の廃材を積み上げて作られた美しい幾何学模様の壁が続く「窯垣の小径(かまがきのこみち)」が広がります。
この歴史情緒あふれるエリアには、陶芸作家が営むギャラリーカフェや古民家カフェが点在しています。メニューには、瀬戸産の新鮮な野菜を彩りよく並べたデリプレート、自家製スパイスカレー、地元産豚肉のポークソテーなどが並びます。
何よりも特別なのは、料理が盛り付けられるお皿やカップがすべて作家手作りの「せともの」であること。器の重み、土の手触り、釉薬の繊細なグラデーションを味わいながら過ごすランチタイムは、日常の慌ただしさを忘れさせてくれます。
4. 春日井・名古屋・多治見との境界:緑豊かな丘陵地帯の隠れ家ランチ
定光寺や愛岐トンネル群。川と森に囲まれた山あいの美味
瀬戸市の北部は庄内川(玉野川)の渓谷が広がる「定光寺」エリアであり、春日井市や岐阜県多治見市と山を挟んで隣接しています。
この山あいの街道沿いには、清流を眺めながらいただく手打ち蕎麦処や、森の中にひっそりと佇むログハウス風の洋食店、薬膳カレーの専門店などが隠れるように営業しています。
自然のマイナスイオンを浴びながらドライブし、川のせせらぎを聞きながらいただくランチは、都市部では決して味わえない贅沢な時間を提供してくれます。